頭の中で同じことがグルグルと回って、なかなか抜け出せない。夜眠ろうとしても、布団の中で今日あった出来事や明日の心配事がエンドレスに繰り返される…。あなたはそんな「考えすぎループ」に陥って、疲れてしまっていませんか?
考えすぎてしまうことは、決して珍しいことではありません。真面目で責任感が強い人、先回りして物事を考えるのが得意な人、そして繊細な感性を持つHSPさんなどは、特にこのループにはまりやすい傾向があります。
でも、安心してください。そんな思考のループから抜け出すための効果的な方法があります。それが、自分の思考や感情に「名前を付ける」というシンプルなテクニック、ラベリングです。
なぜラベリングが「考えすぎ」に効くの?
ラベリングは、頭の中で起こっていることを「ただの思考」として客観的に捉える手助けをしてくれます。まるで、自分の頭の上から、今何が起こっているかを実況中継するようなイメージです。
感情や思考に名前を付けることで、私たちはその渦中に巻き込まれるのではなく、一歩引いてそれらを観察できるようになります。これにより、感情的な反応が和らぎ、冷静さを取り戻しやすくなるのです。
実践!考えすぎループを断ち切るラベリング活用術
それでは、具体的なロールプレイの例を交えながら、ラベリングの活用術を見ていきましょう。
シナリオ1:同僚の言葉が気になって仕方がない時
職場で、同僚に何気なく言われた一言がずっと心に引っかかり、仕事が手につかないほど考え込んでいます。
ラベリングを活用するあなた
同僚の言葉が気になり始めた時、心の中でそっとつぶやきます。
「うん、これは不安の思考だな。〇〇さんの言葉の意図を深読みしている状態だ。」 (→思考の種類と行動を具体的にラベリング)
「今、私の心はちょっと焦りを感じているな。」 (→感情の種類をラベリング)
そして、さらに続けます。
「この深読みは、あくまで私の頭の中にある思考にすぎない。〇〇さんの本当の意図は分からないし、勝手に悪い方に決めつける必要はない。」 (→「思考にすぎない」と付け加えることで、思考から距離を取る)
「よし、一度この件は脇に置こう。今は仕事に集中する時間。」 (→次に取るべき行動をラベリングし、切り替えのきっかけを作る)
シナリオ2:プレゼン前の完璧主義な思考に囚われた時
来週のプレゼンに向けて資料を作成中、細部にこだわりすぎて、なかなか先に進めません。
ラベリングを活用するあなた
「このグラフの表現、もっと良い方法があるんじゃないか? いや、待て。これは完璧を求める思考だな。資料作成が終わらないことへの不安も感じてる。」 (→思考と感情をラベリング)
「よし、今は80点で完成させる段階だとラベリングしよう。完璧でなくていい、まずは形にするのが大事だ。」 (→目標や行動基準をラベリング)
「細かい修正は後で考えるとして、まずは大枠を完成させることに集中する時間だ。」 (→優先すべき行動をラベリング)
ラベリングを使いこなすための3つのコツ

- 気づいたら「即」ラベリング: 思考の渦に巻き込まれそうになったら、できるだけ早く「これは〇〇だ」と名付けてみましょう。早く気づくほど、思考から抜け出しやすくなります。
- 判断せず「認識」に徹する: ラベリングは、その思考や感情が良いか悪いかを判断するためではありません。ただ、「今、こういうことが起きているんだな」と認識することが目的です。
- 自分に優しい言葉を選ぶ: 「またダメだ」「なんでこんなこと考えてるんだ」と自分を責めるような言葉ではなく、「ちょっと不安を感じているんだね」「心配性になっているんだな」など、自分に寄り添うような言葉を選んでください。自己受容の姿勢が大切です。
まとめ
考えすぎてしまうことは、あなたの真面目さや繊細さの表れでもあります。しかし、その思考のループに囚われすぎてしまうと、心も体も疲弊してしまいますよね。
今回ご紹介したラベリングは、そんな思考のループを断ち切り、自分自身の心と頭を整理するための強力なツールです。自分の思考や感情に「名前を付ける」というシンプルな行動が、あなたを客観的な視点へと導き、冷静な判断や行動を促してくれます。
完璧にできなくても大丈夫です。まずは、頭の中がモヤモヤし始めた時に「これは何だろう?」と問いかけ、そっと名前を付けてみることから始めてみませんか。ラベリングを習慣にすることで、あなたは思考の波に翻弄されることなく、もっと穏やかでクリアな毎日を過ごせるようになるでしょう。
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