近年、予測が難しいゲリラ豪雨が増え、都市部での浸水被害や土砂災害が頻発しています。「うちの地域は大丈夫だろう」と思っていませんか?ハザードマップを確認していなくても、万が一の時に命を守るための行動は可能です。
なぜ都市の豪雨は危険なのか?
都市部では、アスファルトやコンクリートで覆われた場所が多く、雨水が地面に染み込みにくい構造になっています。そのため、短時間に大量の雨が降ると、下水が処理しきれなくなり、道路がすぐに冠水したり、地下空間に水が流れ込んだりしてしまいます。
また、「土砂災害は山間部だけのもの」と思われがちですが、造成された宅地や急な斜面がある都市部でも、がけ崩れや小規模な土石流が発生する危険があります。一度水が溢れ出すと、その流れは想像以上に強く、たった数十センチの深さでも人は簡単に流されてしまうことがあります。

ゲリラ豪雨!その時、どう動く?
ハザードマップを見ていなくても、緊急時に命を守るために取るべき行動はシンプルです。
1. 「命を守る」行動を最優先に
何よりも大切なのは、あなたの命です。危険を感じたら、すぐに身の安全を確保しましょう。物を取りに戻ったり、誰かを迎えに行ったりといった行動は、二次災害のリスクを高めます。
2. 最新の情報をリアルタイムで収集する
現代では、スマートフォン一つで多くの情報が得られます。
- 気象庁「キキクル(危険度分布)」をチェック: これは、今いる場所の災害の危険度を色で示してくれる便利なツールです。ハザードマップがなくても、直感的に危険な場所がわかります。
- テレビ・ラジオ・自治体の情報: ニュース速報や防災無線、自治体の防災アプリなどで、最新の気象情報や避難指示(警戒レベル4)、緊急安全確保(警戒レベル5)が発表されていないか確認してください。

3. 屋外にいる場合の行動
- 頑丈な建物へ避難する: 鉄筋コンクリート造のビルなど、しっかりとした建物の中に避難してください。
- 地下空間は絶対NG: 地下街やアンダーパス(くぐり抜けの道路)、地下室などは、短時間で水が流れ込み、非常に危険です。絶対に近づかないでください。
- 水路や河川に近づかない: 濁流は見た目以上に流れが速く、足元が見えずに転落する危険があります。
- 冠水した道路は歩かない・車で通らない: マンホールの蓋が開いていたり、足元が見えない水中に危険物が潜んでいたりする可能性があります。車もエンストして立ち往生することも。
- 高台や頑丈な建物の上層階へ移動: 周囲より少しでも高い場所や、避難できる建物の上階を目指しましょう。

4. 屋内にいる場合の行動
- 垂直避難を検討する: 自宅が浸水する恐れがあるけれど、外へ避難することが危険な場合(すでに水が深く、流されそうなど)は、無理に移動せず、自宅の2階以上や、隣接する頑丈な建物のより高い階へ移動する「垂直避難」をしてください。
- 電気のブレーカーを落とす・ガスの元栓を閉める: 浸水が予想される場合、感電や火災を防ぐために必ず行いましょう。
- 窓から離れる: 強風や飛来物で窓が割れる危険性があるため、窓のない部屋や、窓から離れた場所に移動してください。

水が引くまで待つのが鉄則
「もう大丈夫かな?」と思っても、水が完全に引き、自治体から避難解除の指示が出るまでは、安全な場所に留まりましょう。水が引いた後も、地盤の緩みや電線の切断、汚泥による感染症など、目に見えない危険が潜んでいる可能性があります。
日頃からの備えが、命を守る第一歩
ハザードマップの確認はとても大切ですが、緊急時に最も役立つのは、冷静な判断と迅速な行動です。この情報が、あなたの防災意識を高めるきっかけになれば幸いです。
ゲリラ豪雨の季節に向けて、今一度、ご家族と「もしも」の時の行動について話し合ってみてはいかがでしょうか?
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