「どうしてあの時、あんな選択をしてしまったんだろう?」
「なぜかいつも、同じようなことで失敗しちゃうんだよな…」
「あの人の言っていること、どうにも納得できないんだけど、何が違うんだろう?」
そんな風に感じたことはありませんか?私たちの日常には、自分では気づかないうちに陥っている「思考の落とし穴」がいくつも存在します。それが、今回から始まるブログシリーズで深掘りしていく「認知バイアス」の世界です。
認知バイアスって一体何?
認知バイアスとは、簡単に言うと、私たちの「思考の偏り」や「思い込み」のことです。人が物事を判断したり、何かを決断したりする際に、過去の経験や先入観、その時の感情などが影響して、客観的で論理的な思考からズレてしまう心理的な傾向を指します。
脳は、毎日大量の情報にさらされています。そのすべてをじっくり処理するのは大変なので、無意識のうちに特定の情報を優先したり、都合の良いように解釈したりする「ショートカット」を使います。このショートカットが、認知バイアスを生む原因となるんです。
認知バイアスは、決して悪いものばかりではありません。時には瞬時に判断を下す手助けになることもあります。ですが、誤った判断や、特定の物事に対する偏見につながってしまうケースも少なくありません。
あなたも陥っているかも?身近な認知バイアスの例
私たちの日常には、様々な認知バイアスが隠れています。いくつか具体例を見ていきましょう。
1. 確証バイアス:信じたいものを信じる力?
あなたは、自分の考えや意見を裏付ける情報ばかりを集め、それに反する情報は無視したり、軽視したりしていませんか?これが確証バイアスです。
例えば、
- あなたが「この商品は良い!」と信じている時、ネットで良いレビューばかりを探して、悪いレビューは読み飛ばしてしまう。
- 特定の陰謀論を信じている時、その説を裏付けるような情報ばかりをSNSやインターネットで探し、公式発表や専門家の見解には耳を傾けない。
心当たり、ありませんか?

2. ハロー効果:第一印象で全てが決まる?
ある特定の一面が良いと、その人の他の特徴まで良く見えてしまう現象をハロー効果と呼びます。
例えば、
- 見た目がとても素敵な人がいると、その人の仕事ぶりや性格まで「きっと素晴らしいに違いない」と思い込んでしまう。
- パッケージがすごくおしゃれな商品を見ると、中身もさぞかし高品質だろうと感じてしまう。
初対面での印象が、その後の評価に大きく影響することがあるのは、このハロー効果が働いているからです。

3. 正常性バイアス:「まさか自分が」は危険信号
予期せぬ異常事態が起こった際、「まだ大丈夫」「自分は大丈夫だろう」と思い込み、危険を過小評価してしまう傾向が正常性バイアスです。
例えば、
- 災害発生時に避難勧告が出ているのに、「きっと大したことないだろう」と、避難が遅れてしまう。
- 健康診断で少し気になる数値が出ても、「まあ、大丈夫だろう」と放置してしまう。
このバイアスは、命に関わるような状況で、適切な行動を妨げてしまうことがあります。

認知バイアスを知ることで、世界が変わる?
これらの認知バイアスは、私たちが意識することなく、日々の買い物、ニュースの解釈、人間関係など、ありとあらゆる場面で私たちの思考に影響を与えています。
自分の思考にどのような偏りがあるのかを知ることは、より客観的で冷静な判断を下すための第一歩です。バイアスに気づくことで、情報の受け取り方が変わり、より良い選択ができるようになるでしょう。また、他者の言動の背景にあるバイアスを理解することで、人間関係がよりスムーズになるヒントも隠されています。
私たちは完璧な存在ではありません。だからこそ、自分の思考の「癖」を知り、意識的に向き合うことが大切なのです。
この「認知バイアスシリーズ」を通して、皆さんの「思考の落とし穴」を一つずつひも解き、より豊かな意思決定ができるようになるお手伝いができれば幸いです。
次回は、さらに別の認知バイアスに焦点を当てて、その仕組みと日常での具体例を深掘りしていきます。どうぞお楽しみに!
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